不正会計を行った通信企業Xへの損害賠償訴訟

概況

米大手通信企業W社が被告となった2002年の訴訟において、原告は同社が会計基準に違反して利益を数十億ドル水増し報告し、その後事実が開示されたことで証券価値が下落、投資家に損害を与えたとして損害賠償を請求しました。

NERAの役割

NERAは詳細なイベント分析を行い、原告が主張する損害額が通信業界全体の低迷やその他W社の個別要因による影響を含むものであり、正当な損害額は原告主張よりも小額であることを明らかにしました。

マーケット・モデルとは、対象企業株価と市場インデックスおよび業種指標の値動きの相関関係を統計的に分析し、構築したモデルで、理論的な株価を予測する ことができます。予測株価と実際の株価の差異を分析することで虚偽記載等の事実開示 (イベント) が株価下落にどの程度のインパクトがあったのかを把握することができます。これを応用することで虚偽記載などの違法行為がもしなかった場合の株価を推測す ることが可能となり、実際の株価との格差が一株あたりの最大損害額となります。さらに、その他株価形成に影響を及ぼすイベントを特定し、違法行為と無関係 なイベントの影響を除外することにより、さらに厳密な損害額を算定します。

結果

両者は2005年に原告の当初の主張を大きく下回る金額で和解しました。