日系企業の独禁法違反行為に伴う米国・欧州当局によるカルテル調査対応サポート

概況

ある日系メーカーは、自社製品の販売に関して他社と行った情報交換行為が価格カルテル行為に該当し米国独占禁止法に違反したとして、日本、米国、欧州、その他各国で審査が行われており、米国では同時に民事訴訟(クラスアクション)が引き起こされつつありました。

NERAの役割

米国DOJによる審査においては、Volume of Commerce (VOC)とよばれる、カルテルによって影響があったとされる売上額の算定に関わり、当事会社の経理・営業担当者などと度重なる打ち合わせを行いながら、精度の高い金額を計算しました。VOCの計算においては、カルテルの影響の有無という観点だけでなく、米国の消費者に直接的に影響を与えたのか、また、間接的に影響を与えたのかというところまで考慮して、様々な仮定を前提としてどのような値になり得るのかといったきめ細かい分析も実施しました。

更に、将来的な、世界各国の当局による課徴金・罰金支払いや民事訴訟への対応を前提とすると、高額な罰金は会社の経営上の負担になることが見込まれることから、罰金を免じてもらうことを目的とした、会社の経営状況に関わる経済分析を実施しました(inability to payの主張の展開)。 

なお、NERAは、米国代理人と当事会社との間の日本の代理人以外のコミュニケーションラインの役割も果たし、米国の現場で起きていることと当事者の認識とのギャップを最小限にすることにも寄与しました。

結果

NERAの分析をベースに、日米の代理人と知恵を絞ってDOJにVOCにか関わる説明を粘り強く行ったところ、当初想定されていた罰金の数分の1にまで罰金の金額を引き下げることに成功しました。また、支払が困難であるという説明についても、DOJは一定程度評価し、更なる罰金の引き下げが行われました。