優越的地位濫用規制の経済分析

2012年9月15日
石垣浩晶

本稿では、経済学的観点に基づき、規制実体としての優越的地位濫用規制を整理・検討すると共に、経済分析に基づいた客観的な事実認定の有用性を明らかにしています。「優越的地位」は、取引の一方ではなく双方の立場から見た取引変更可能性を考慮した上で認定されるべきです。「濫用」の認定に関しては、行為の経済合理性について注意深い検討が行われるべきであり、外形的には「濫用」と見える場合であっても、濫用されていると想定されている側に直接的な利益が生じていることを実証的な分析で明らかにできることが示されています。