株式取得価格決定におけるマーケットモデルを用いた回帰分析の具体的な方法論-レックス事件を題材に-

2015年6月25日
石垣浩晶 矢野智彦 吉峯耕平

旬刊商事法務N0.2071(2015.6.25) 

法律学や法律実務において、統計学的手法を用いる機会はますます増えている。特に、会社法学における統計的手法の重要性は広く認識されるようになった。統計的・経済学的証拠が立証のために用いられた具体的な事例は徐々に増加しており、株価にかかわる裁判を例にとれば、インテリジェンス事件、不正開示の損害賠償では西武鉄道事件で重要な判断が示されている。

実際の事件処理における統計的・経済学的証拠の有用性は、少なくともある種の事件類型に関しては疑問の余地がない。

本稿では、日本の株価算定における回帰分析の運用方法における、適切な慣行の確立に資する情報を提供するため、株価算定で用いられ るマーケットモデルの回帰分析について、学術的な観点、および、米国における運用実態を必要に応じて紹介しつつ、わかりやすく解説する。具体的には、レッ クス事件を取り上げ、実際にマーケットモデルによる分析を実施している。