電子部品産業における事業買収

概況

ある大手電子部品メーカーは、ライバル企業の事業不振に陥っている部品事業を買収する計画を有していました。当該部品は外販されているものと内製されているものが存在し、外販されている部品のみに注目すると、当該買収により合算市場シェアは著しくたかまるため、独占禁止法上の企業結合規制によって禁止される可能性が極めて高いと考えられました。

NERAの役割

NERAは、その事業部門の市場集中度は著しく高くなるとしても、その関連市場での競争が激しいことから、両企業の事業が一体となっても、価格を引き上げることは困難と思われることを、臨界損失分析を実施して明らかにしました。また、それぞれの企業の部品は、同じ市場に属するという見方がされるとしても、価格と販売数量のデータ分析を前提とすると、密接な競合関係(代替関係)にあるとは言えないことを明らかにしました。また、中長期的な観点からは、当該部品市場で用いられている技術の発展により、密接な競争関係にある別の部品により代替される可能性があることについても指摘しました。

結果

公正取引委員会は、当初、第二次審査における審査が必要であることを示唆していましたが、第一次審査の終了時点で、本件買収に対して問題が無いという判断を示しました。